注文のマズい料理店
例えばたまたま入ったお店のサービスがひどく悪かったときに、「なんだこの店は!」と怒るのではなく、場を見抜ききれなかった自分の直感の鈍さを残念に思うようになる。(名越康文『驚く力』)
先日、マズい飲食店に入ってしまった。
ショッピングモールの外の歩道に、飲食店の立て看板があった。
妻が「行ってみようよ」と言う。
そこは『沖縄◯◯』という、聞いたことのない料理の専門店だった。(エゴサーチされて恨まれたくないので、伏せ時にしておく。『◯◯』という料理は一般的だが、『沖縄◯◯』という料理は聞いたことがない。)
私は『◯◯』には興味がなかったので渋ったのだが、妻は興味津々だった。
「サイドメニュー多数って書いてあるよ。ゆーきーの好きな唐揚げもあるかもよ。」
唐揚げがあるなら行ってもいいかなと思った。
それからショッピングモールをブラブラし、外に出ると、チラシ配りがいた。
さっきの『沖縄◯◯』のチラシだった。
妻がチラシ配りに「お店はもう開いてるんですか?」と聞いた。11時をちょっと過ぎていた。
チラシ配りは言った。「あー開いてると思います。」
思います・・・?
妻はさらに聞いた「サイドメニューは何があるんですか?」
チラシ配りは言った。「そこの看板に書いてあります。」
知らないのか・・・?チラシにも載ってない。
チラシ配りが指した看板には、「サイドメニュー多数」としか書いていなかった。
私も妻もテンションが下がったのだが、「沖縄のバイトいるいる」ですませてしまった。
その飲食店は、スナックビルの1階より上にあった。スナックビルの1階より上の店舗で、まともな飲食店があるのだろうか?ないことはないのだろうが、大穴だろう。
入ってみると、店内はキレイで、新装開店のお祝いの花がたくさん飾られていた。沖縄音楽がBGMに流れている。
メニューを見る。メインは『沖縄◯◯』で、サイドメニューは・・・3つしかない。デザートは4〜5つあったが、サイドメニューは、ミートボールと、手羽先と、豚の角煮の唐揚げ。確かに唐揚げはあったけど!唐揚げといったら鶏でしょ!
仕方なく、『沖縄◯◯』と、豚の角煮の唐揚げを注文した。店員は「特別な調理をしていますので、15分ほどかかります」と言った。
客は、私達の他にもう1組だけ。
しばらくして、豚の角煮の唐揚げが先に出てきた。
・・・。
ちっさ!!!
親指の先ぐらいの豚の角煮が5つしか載ってない。これで500円?!?!?!私は妻の顔を見た。心の中で「『唐揚げがある』って言うから来たのに、鶏じゃないし、小さいじゃねーかよ!」とつぶやきながら。
妻は涼しい顔をしていた。
味は・・・夕ご飯の残り物レベルだった。
それから『沖縄◯◯』が出てきた。
・・・何だこれ。見た目が汚い。
味は・・・ない。何で味がないんだ?
テーブルに置いてあった醤油をドバドバかけて食べた。
妻からLINEが来た。
「びっくりするほどマズい」
これで800円。高い・・・。
なぜこの味なのか?
なぜこの料理に15分かかったのか?
なぜ『沖縄◯◯』なのか?
なぜこれで行こうと思ったのか?
なぜスナックビルの1階より上なのか?
観光客狙いなのか?外国人観光客狙いなのか?
ここのオーナーが考えたのか?
あるいはオーナーは誰かに騙されたのか?
疑問は尽きない。
お腹は膨れたが、舌が萎えてしまったので、近くのコンビニでサンドイッチとアイスを買った。