幼稚園の行事の準備が嫌だ。
今朝から、幼稚園と小学校の合同で開催されるお祭りの準備だった。気が重い。日曜日の朝から肉体労働だなんて。
時間より少し早めに場所に着く。そこにはすでに足がたたまれているテントが設営されていた。昨日のうちに設置したのだろう。すでに何人かいるが、リーダーのような人がいない。誰かが、「じゃあ、テント立てますか。」と言い、テントを立て出す。これはあれだ、不安になるシチュエーションだ。
リーダーのいない作業場。何をすべきか分からないが、何かはしないといけない。人が少ないときはあれもこれもやらないといけないことが出てきて大変だけれど、人が多いときも大変だ。仕事を探さなければならないからだ。
他の人が仕事をしているときに、何をしていいか分からず、呆然と立ち尽くす。
「無能」の二文字が頭に浮かぶ。
大学の頃、バーベキューなんかをやると、私は必ず、何をしていいか分からず、ボーッと見ているだけだった。友達同士のバーベキューなら問題はない。サークルでは先輩によく注意されたものだ。「ボーッとしてないでこれ片付けて!」「これだから長男は!」
「長男ハラスメント」
私も歳を取り、多少は、ボーッとしているように見えないように振る舞えるようになってきた。(か?なっていないかもしれない。)少なくとも、ボーッとしていることに、罪悪感を覚えるようにはなった。
だからこの、仕事にありつけず、立ち尽くしている状態に罪悪感を覚えていた。そして、同じように立ち尽くしている人を見ては、安堵する。俺だけじゃない。
誰だ、リーダーは。リーダーがいないのが悪い。先生か。私は長女の先生の顔を知らない。いや、もしかしたらこのイベントは、PTA主催かも知れない。PTAだったら、同じ親として、強くも言えない。(弱くも言えない。)しかし、幼稚園と小学校の合同のイベントなのだから、やはりリーダーがいてもいいのではないか。
日曜日の朝から、嫌な気分になる。この作業には強制ではなく、「できる方は協力お願いします。」という文書が来て、私が「できます。」という欄にマルをしたから行ったのだけれど、「できません。」にマルができるほど、自分に正直でもない。
「他のお父さんお母さん達が作業してるのに、しないんですか?」と、心の中の何かが心の中をチクチク刺す。心がチクチクするので作業に行くが、そこはそこで、嫌なものだ。