池上永一の小説は夢のようだ。
池上永一の小説を16冊読んだ。(上巻、下巻は2冊と数えています。)なかなか飽きない。小説業界のことはよく知らないけど、こんな小説を書く人は他にいるのだろうか?
キャラクターの暴走が酷い。「ありえない。」と思う。(そんなオバァはいない。)ストーリー展開も凄い。無茶苦茶。ついてけない。(特に『レキオス』)しかし、要所要所で語られる沖縄の文化、歴史。そこにはインテリジェンスを感じさせる。
いろいろ無茶苦茶だけれど、だからと言ってナンセンスだとかシュールだとか言うわけではなく、かろうじてエンターテイメント小説の体を保っている。無茶苦茶だから飽きないわけだけど、これより少しずれたら、もう本を放り出していただろう。
私の中でしっくりくる表現が浮かんだ。
「夢のようだ。」
一般的に、「夢のようだ。」という表現は、「理想的だ。」という意味で使われる。
しかし、寝ているときの夢は、冷静、客観的に考えれば荒唐無稽だが、見ているときはリアリティがあり、感情が揺さぶられる。
そんな感じ。